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COD値高い地も
「多摩さくら百年物語フォーラム」(会長・斎藤耕一映画監督)と「多摩らいふ倶楽部」が、セミナー「多摩さくら遊学塾」の第2弾として実施した水質検査の結果がまとまった。今月5日の世界環境デーにあわせて全国で一斉に行われた調査に参加し、会員らの手で身近な川の水質を調べてみた。多摩地区の26地点で実施した結果、データは全般的に良好な水質環境を示し、一時期悪化が叫ばれた時代に比べて、改善傾向が順調に進んでいることを裏付けた。セミナー第3弾として11日に開催した、多摩川源流研究所(山梨県小菅村)の中村文明所長から多摩川源流域の魅力や自然保護の活動の話を聞く講演「多摩川源流散歩」を詳報する。
今回の調査は、自ら水質を調査することにより、生活に直接かかわる身近な水環境について理解を深めようというのが狙い。調査に先立ち東京農工大の小倉紀雄名誉教授から、調査方法の指導を受けて実施した。
会員などは、自分の住んでいる近くの多摩川、平井川、秋川など多摩地区の9河川26地点で、水中の有機物の量の指標であるCOD(化学的酸素要求量)の数値などを検査した。CODは数値が高いほど汚染が進んでいることになる。結果は、気温や水の流れの速さなど、わずかな環境の変化に左右されやすいため、参加者は各地点で3回ずつ検査を行った。
小倉名誉教授は今回の調査結果を受け、「全般的に良好なデータが得られた。ここ数年の良好な傾向が続いている」とした。
特に奥多摩町を流れる多摩川の2地点ではCODの値が0と非常に低く、奥多摩の自然環境の良さをそのまま示す結果が得られた。
しかし一方で、数値が高い場所もあった。小倉名誉教授はCODの数値が3回の平均で5〜6を超えている〈11〉、〈16〉、〈20〉の3地点を「気になる場所」として挙げた。
3回とも6だった〈11〉(川崎市多摩区・三沢川)は「三沢川は、例年高い数値を示しているが、特にこの場所は多摩川との合流地点に近いため、上流からの汚染物が集中しているようだ。原因を詳しく調べる必要がある」と指摘。
4〜7を示した〈16〉(日野市日野・多摩川)については「大きな河川は各支流の汚染物が集まってくるため、細い河川と比較して数値が高くなりがち」と述べた。
3回の検査とも8以上という最も高い数値を示した〈20〉(立川市錦町・多摩川)は、「水の流れが止まっていて、有機物の濃度が高くなっている可能性がある」とした。
検査は、天候によって左右されることがあり、雨の後などは、数値が高くなることがある。今回は、検査前日に雷雨があり、川底の土砂が流れた影響で、一部の地域の数値が、普段より高くなっている可能性があるという。
多摩川は1970年代には汚染が深刻だったが、下水道の整備が進んだことなどで、ここ数年、水質が大きく改善された。
小倉名誉教授は「調査を機に、多摩川のきれいな水を守るために自分たちが何が出来るかを考えることが大切です」と総括した。
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講演「多摩川源流散歩」詳報 源流域の自然素晴らしい
◇多摩川源流研究所長 中村文明さん 57 
多摩川の源流域で東京都が管理している水源林は約2万1635ヘクタール。東京だけでなく山梨県の丹波山村や小菅村にも広がっています。
東京都が源流域の森林管理に乗り出したのは、明治期に多摩川の水が日照りの際に枯れたり、大雨の際に濁ったりすることが頻繁に起きたからです。
当時の東京府が奥多摩などの源流域を調査したところ、盗伐などで森林が荒廃し、保水力などが落ちていることがわかりました。そこで「給水100年の計」という方針を立て1901年から水源林の管理に乗り出しました。今では国内でも最も立派な水源林になっています。多摩川は都民の飲み水や憩いを提供していますが、これは100年にわたる先人の努力の成果なのです。
健全な保水力を持った森林が出来るのには時間がかかります。ブナやミズナラなどの落葉広葉樹が生えた森は1ヘクタールあたり毎年3トンの枝や葉を落としますが、これが100年続くと、ようやく1センチの腐葉土が出来るのです。
また、森林は根をしっかり張ることで土砂の流出を防ぎます。日本には数千のダムがありますが、数十年たつと砂で埋まってしまうケースが多いのですが、奥多摩の小河内ダムは1957年に造られましたが、まだ堆砂(たいさ)率が2・6%。管理の行き届いた森林は保水力だけでなく、土砂も防ぐという証明です。
また、水源林が身近なものであることも多摩川の特徴です。日本には主な川が1万3987あると言われ、1級河川だけで100以上あります。これらの川の源流は地形が険しく、なかなか入ってゆくことができません。遊歩道などが整備されているのは多摩川だけ。そういう意味でも、大切にしてゆきたいものです。
源流域の手つかずの自然は素晴らしいです。大常木谷というところは人を寄せつけないぐらい険しいだけに、ヤマメ淵という淵には尺(約30センチ)のヤマメがたくさんいます。また紅葉窪というところは秋には谷が紅葉でいっぱいになります。「ヤマメ淵」や「紅葉窪」という地名は地図には載っていません。炭焼きや木材の切り出しのために山に出入りしていた人が名付けたものです。こうした地図に載っていない地名が源流域には、たくさんあります。ゲタの材料のサワグルミが群生していて、これを切り出す人の小屋があった場所は「ゲタ小屋の滝」、そこより上にはヤマメやイワナがいないという滝は「魚止めの滝」といった具合です。
いずれも、山に親しんだ人の自然への観察力や洞察力、愛着が表れています。
源流域の自然にも不安があります。水源林の周辺には民有林が広がっていますが、国内林業の低迷で、管理が行き届かなくなっています。間伐を行わないため、森の中が真っ暗になり草木が成長しない森になってしまうことが多いのです。こうした森は保水力が落ち、大雨が降ると土砂が流れるなどの現象が起きます。
私たちは、こうした森の間伐ボランティアなどをしていますが、流域に住み、多摩川を愛しているみなさんにぜひ協力していただきたいと思います。
◇
宮崎県出身の中村さんは結婚を機に多摩川源流域の山梨県塩山市に移り住んだ。源流域に残る地図には載っていない地名を網羅した源流絵図の塩山・丹波山版、小菅版、奥多摩版を出版している。2001年4月に小菅村が設立した多摩川源流研究所長として源流域の自然の魅力を伝えたり保護する活動に取り組んでいる。
◆「現状が分かった」 参加者喜びの声
水質調査に参加したメンバーからは、「川の現状を知る良いきっかけになった」「来年も参加したい」などという感想が寄せられている。
立川市錦町で調査を行った参加者は、市民が環境保全に取り組んでいる根川で、自然の清流とほぼ同じ結果が出たことに驚き、「大人が子供たちにきれいな地球を残していかなければと考えた」という感想を寄せた。
また普段、子供と一緒に遊んでいるという残堀川を検査した会員からは、「水質がきれいでうれしかった。たくさんの仲間ができ、とても有意義な1日となった」という喜びの声もあった。
〈COD〉
Chemical Oxygen Demandの略。水に含まれる有機物を二酸化炭素や水に分解して浄化するのに必要な酸素量を表し、水中の有機物の量の目安になる。CODの数値が5以下なら、魚が住みやすい水質といわれる。主に湖沼や海域の有機性汚濁の指標として使われるが、測定結果が出るまでの時間が早いため、河川の水質検査でもしばしば用いられる。
〈水質調査の調査地点と結果〉
※6月5日実施
前日の天候 COD1 COD2 COD3
1 曇りのち雨 2 3 3
2 曇りのち雨 1 1 2
3 曇りのち雨 2 1 2
4 曇り夕方雨 1.5 2 2
5 曇り夕方雨 2 1.5 1.5
6 曇りのち雨 3 3 3
7 曇りのち雨 3 3 3.5
8 曇りのち雨 5 1 1
9 曇りのち雨 4 4 4
10曇りのち雨 5 5 5
11曇りのち雨 6 6 6
12曇り夕方雨 3 2 2.5
13雨 0 0 0
14雨 0 0 0
15曇りのち雨 3 4 5
16曇りのち雨 7 5 4
17曇りのち雨 4 2 2
18曇りのち雨 3 1 2
19曇りのち雨 3 2 3
20曇りのち雨 8以上 8以上 8以上
21曇りのち雨 1 1 0
22曇りのち雨 0 1 0
23曇りのち雨 2 2 1
24曇りのち雨 2 2 2
25曇りのち雨 2 2 2
26曇りのち雨 4 4 4
(6/16 読売新聞多摩版記事より転載)
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