遊学塾「冬の森の自然観察会」詳報 

 木の茎に動物の顔!? 実は葉痕、雪の植物「新鮮」 昭和記念公園

 真っ白い雪に包まれた国営昭和記念公園で、21日開かれた多摩さくら百年物語フォーラムの1月の遊学塾「冬の森の自然観察会」は、普段とは趣を変えた景色の中で参加した約40人が、冬を耐える植物などを観察した。

 当日は、未明から降り出した雪で、園内はすっかり雪化粧。観察会の参加者以外に、入園者はほとんどなく、ほぼ“貸し切り”状態で、静寂に包まれた園内は、にぎやかないつもの顔とは異なり、厳粛な雰囲気さえ感じさせた。

 参加者は午前10時に、「みんなの原っぱ」の中央にあるケヤキの木の下に集合。すべてを覆ってしまった白い風景に、寒さも忘れ、「とてもきれい」「何とも言えない雰囲気だね」などという声が聞かれた。

 今回のガイド役は同公園の川原淳管理係長などの公園職員。川原係長は、集合場所の目印にした樹齢100年のケヤキについて、米軍基地だったころから同じ場所にあり、樹形のよさからそのまま残されることになったというエピソードや、「ケヤキは、遠くまで種を風に運んでもらえるように、実がついた小枝ごと落として、風に運んでもらう」と解説した。

 「みんなの原っぱ」を出発した一行は、2班に分かれて園内を散策し、職員から園内で見られる植物や冬を越そうとする昆虫についての話を聞いた。

 「シモバシラという多年草の茎は、12月の冷え込んだ朝に中の水分が茎を突き破って氷結し、回りに独特の形の氷の固まりを作る」という説明を聞いたりヒノキとサワラの見分け方などを習ったりした。

 特に参加者が興味をかきたてられたのが葉痕(ようこん)についての解説。葉痕は葉が落ちたときに茎に残る、水分などを葉に運んでいた管のあと。この葉の名残が動物の顔に見えるのだという。「アジサイはイヌの顔に、ネムノキは猿の顔に見える葉痕ができるといわれます」という職員の話に、参加者は虫眼鏡を使って不思議そうに葉痕をのぞき込んだ。

 1994年に読売新聞社が創刊120周年を記念してケヤキやイヌシデなどの植樹に協力した「こもれびの丘」は、武蔵野らしい雑木林が続き、シュンランやタマノカンアオイが雪の中でも緑の葉をつけていた。川原係長は、「手入れが行き届かなくササが繁殖してしまい、シュンランが見られる雑木林も少なくなりました」と話した。園内では雑木林の落ち葉で腐葉土も作っている。心を癒やす風景を維持していくには、自然を守る努力が欠かせないのだという。

 約2時間の散策終了後は豚汁で、冷え切った体を温めた。「豚汁が、こんなにおいしく感じるなんて」などという声も聞かれた。

 何度も公園を訪れている昭島市の小林彰さん(73)は「雪が降っているときに来たのは初めて。とても新鮮だった」。国分寺から参加した萩原啓子さん(33)は「解説を分かりやすくしてもらえ、ためになった」と喜んでいた。参加者たちは、「今度、公園に来た時、植物たちの見方が変わるかも」と話していた。

   
 (1/26・読売新聞多摩版記事より転載 )