第1回「多摩さくら百年物語大賞」決定 

 さくら大賞に大谷さん

 環境活動に優れた功績があった多摩地域の個人や団体を表彰する第1回「多摩さくら百年物語大賞」の大賞、準大賞が決まった。

 同大賞は多摩さくら百年物語フォーラム(会長・斎藤耕一映画監督)が昨秋から募集していた。今回は計15の個人・団体が応募した。

 大賞は国立駅前の桜並木の保存活動などをしているナチュラリストの大谷和彦さん(56)(国分寺)が受賞。自然保護の観点という、桜に対する新たな関心を呼び起こしたことなどが評価された。

 また、準大賞には、水環境の調査や保全活動をしている「浅川流域市民フォーラム」と、奥多摩などで鳥の巣箱の設置活動などを行っている影山豊さん(80)(青梅)が選ばれた。「浅川流域市民フォーラム」行政と連携したキメの細かい活動を続けている点などが、影山さんは、50年にわたる活動の息の長さなどが評価された。

 表彰式は19日の多摩さくら百年物語フォーラム総会で行われ、トロフィーのほか大賞には30万円、準大賞には10万円が副賞として贈られる。

 ■選考委員会■

委員長=小倉紀雄・東京農工大名誉教授 委員=小沢紀美子・東京学芸大教授、斎藤耕一・映画監督、
佐藤浩二・多摩中央信用金庫理事長、中村文明・多摩川源流研究所長、石井仁・読売新聞千葉支局長、
西野芳明・同立川支局長


大賞に選ばれた大谷和彦さん 56歳(国分寺)

「自分が思いついた活動に、多くの人がかかわってくれたおかげ」と受賞を喜ぶ。

 JR国立駅前の桜並木で樹勢が弱った木を保護するなどの「くにたち桜守」としての活動は広く知られ、手がけている国立市の自然を守る活動は、非常に多彩だ。
 親子で参加する自然と親しむ集い、リサイクル社会を理解するためのアニメ上映会……。多摩川河川敷でのゴミ清掃を兼ねた自然観察会は来年で20周年を迎える。
 6年前まで約15年間、国立市に住んだ。桜並木やわき水、雑木林など、市内の豊かな自然のおかげで心が潤った。「自分が恩恵を受けた自然を、若い世代に残したい」と自然保護活動に乗り出した。地道な活動が知られと、各地で自然について話す機会が増えた。
 最近は、市内の小学校での特別授業に重点を置いている。難しい話は出来るだけ避け、自然の中に引率して動植物の生態などを実際に見せて解説する。「自然の豊かさ、素晴らしさを五感で感じてもらうことで、大人になったときに、自然を守ろうという気持ちになってくれれば」。
 長年、目で追っている身近な虫や鳥も、見かける機会が減っている。「今なら良い方向に変えることができる。時間はかかるが、魅力ある地域作りの手助けをしたい」と意欲を語った。


準大賞を受賞した元都鳥獣保護員 影山豊さん 80歳(青梅市)

 日本野鳥の会会員として青梅市の御岳山を中心に野鳥の保護に取り組み、図書館で自然科学関係の書物を読破して身につけた知識で、探鳥会の講師を約50年間続ける。
 「意外な栄誉でありがたい。指導を受けた多くの人たちに感謝します」。長年野鳥を見守ってきた柔和な瞳を細めた。
 1964年から今年3月まで都鳥獣保護員として、小学生に巣箱作りを指導し、巣箱コンクールの開催は45回になり、作られた数は1万1000個を超えた。木々に掛けられた巣箱は、野鳥にとって絶好の子育ての場になっている。
 「大きさ、ひさしの出具合が鳥によって異なり難しいが、子供たちは熱心に作ってくれた」と巣箱で巣作りをする野鳥を見上げる子供たちの表情を励みにしている。
 野鳥の姿が減ってきているのも事実で、「昭和40年ごろから小鳥の声で目覚める、すがすがしい朝がなくなった。えさの昆虫が減ったからでしょう。自然環境の変化に目を光らせていかないと」と柔和な目に力を込めた。


準大賞を受けた浅川流域市民フォーラム

 「成果が見えにくい地道な活動を評価してもらえた」と事務局長の諏訪祥子さん(50)は喜んだ。
市民参加による川と街づくりを目的に2000年7月に設立した。八王子市と日野市の13団体と個人約90人が参加し、国、都、市などの担当者と意見交換をして、行政の河川管理や開発に市民の要望を反映させている。魚類や植物の生態調査、河川清掃も行う。

 前身の「浅川流域連絡会」は自然保護団体中心の組織だったが、幅広く市民が参加出来る組織を目指し、町会や自治会、用水組合などに呼びかけた。市民組織になることで、行政サイドと率直な意見交換が出来るようになったという。
 今後も、浅川流域の汚染度が一目でわかるマップ作りや、上流から下流まで一日がかりの大規模な清掃活動などを考えている。「もっと多くの人に河川の現状に関心をもってもらいたい」と諏訪さん。川を愛する人の輪をさらに広げる環境活動を展開する。

 

 

   
 (5/11・読売新聞多摩版記事より転載 )