遊学塾・多摩川源流の森再生へ ドングリ拾いで第一歩

拾ったドングリを、自宅で苗木に育て、数年後に森に戻して森の再生に一役買おう――今月8日、多摩川源流域の山梨県小菅村で開かれた10月の「多摩さくら遊学塾」(多摩さくら百年物語フォーラム主催)は、参加した32人が、壮大な計画の第一歩として、苗木に育てるためのミズナラなどの実(ドングリ)を拾った。参加者は、ガイド役から「自然の持つ力」の説明を受けながら、源流域へと歩を進めた。

 一行は同村の松姫峠(標高1250メートル)を出発し、鶴寝山(同1369メートル)の山頂に向かって、ブナやミズナラなどが生える尾根を登った。今回のガイド役は多摩川源流研究所の中村文明所長と、同村で山野草を栽培している小島力さん。

 登り始めてすぐに地面の軟らかさに気づく。広葉樹の森が作る天然の腐葉土だ。一行からは「フカフカする」、「自然の布団」という声があがる。「水がよくしみこむ腐葉土が源流の森の保水力を支えています。落葉広葉樹の森で出来る腐葉土は、100年で厚さ1センチだけ」と中村さん。

 参加者は、所々で小休止をはさみ、中村さんらから、植物の見分け方、「ササの実は栄養が豊富なので野麦とも言われる」、「栄養価が高いブナの実を食べた、11月のイノシシの肉は最高においしい」など自然解説を聞き、ドングリを拾いながら進んだ。

 1時間半ほど歩き、山頂に到着。森の切れ目から見える富士山に歓声がわく。登り始めの時点では霧が立ちこめていただけに、喜びも大きい。中村さんも「みんなの心がけが良かった」と驚いた様子だった。

 拾ったドングリは参加者が自宅などで苗木に育て、数年後に源流域の山に植える予定で、育て方の説明書も配布された。町田から参加した小倉彩優里さん(21)と佐々木まりさん(22)は「何気なく使っている水のありがたさを実感した。ドングリを育てて植えに戻ってきたい」と口をそろえた。

 

(10/13・読売新聞多摩版記事より転載 )