「多摩桜百年物語フォーラム」は9日、体験型セミナー「多摩さくら遊学塾」の第1弾、「桜いろいろ」を八王子市廿里町の多摩森林科学園で開いた。今回は講師に前・同園長の三輪雄四郎さん(60)とナチュラリストの大谷和彦さん(56)を迎え、午前午後の2回に計220人が参加した。同園には250種類とも言われる1700本の桜の木があるが、当日はソメイヨシノなど一重の桜が満開。参加者は同園を散策して多様な桜を楽しむ一方、それぞれの桜の特徴や保護活動などについて講師の解説を聞いた。両講師の解説内容を詳報する。                      

「桜咲く季節ならではの自然の魅力を語る」ナチュラリストの大谷和彦さん(56)

 桜の根の張り方は浅くて広く、深さ30〜50センチのところで、枝先まで根の先も伸ばしています。木の周囲をコンクリートの道路で覆ってしまうと根元に水や酸素が入りづらく、桜にとってはとても息苦しい状況です。土の上に露出している根を踏みつけることも、桜を弱らせる要因になります。

 桜の美しい花だけを見ていて、今日の桜が実は大変弱っている現状を知っている人は多くありません。国立市の桜並木では、桜の根を踏みつけられないように地元小学生らの協力を得て木の周囲に花を植えてもらっています。小学生には桜を守ることの意識付けになったはずです。出来ることなら柵などで囲わなくても根を踏みつけないように多くの人の意識が変わればと思っています。

 桜の楽しみ方は、咲いているときだけではありません。夏の青々とした葉、秋に茶色く染まった葉、季節ごとの変化を見ていると、もっと楽しめるようになるでしょう。

 身近な自然を感じ取ることも大切です。例えば今の時期、カンザシのように垂れ下がるキブシ、破れた傘のように見えるヤブレガサ、イノシシの獣道、コゲラやウグイスのさえずり、さわやかに吹く春風……。それらに気付いて、自然との一体を感じ取ることができれば、桜の見え方も変わって来て、また違った楽しみが生まれます。

 桜にはいろいろな品種があります。その名前や由来を、覚えることも楽しいでしょうが、美しいと直接感じる心を大切に、角度、距離を変えて眺めてみることをお薦めします。桜の美しさをベースに、自然の楽しみ方、関わり方が見えてくるでしょう。

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 国立市駅前の桜並木保存活動などをしているナチュラリストの大谷和彦さん(56)は、園内の小道でこまめに足を止めては桜だけにとらわれない、春ならではの自然の楽しみ方解説した。芽吹き始めた様々な植物、鳥のさえずりに気付き、四季を通じた桜を知ることで、春の美しさを感じ、自然を見つめる目が変わってくると説明した。

「桜の不思議、分かりやすく」前・多摩森林科学園長の三輪雄四郎さん(60)

 国内の桜の種類は300とも400とも言われます。開花時期が多様なうえ、ジュウガツザクラなどは一年に2度花をつけるので、日本全国で桜の花を見られない時期は、ないほどです。桜の原種はネパールのヒマラヤザクラという説があります。
 桜は同じ種類の桜以外の花粉を受粉すると種をつけやすい性質があるため、自然と種類が増えた面があります。人為的に交配して作られたものも少なくありません。
 人気が高いソメイヨシノは江戸末期にエドヒガンザクラとオオシマザクラを掛け合わせて作られました。エドヒガンザクラの葉が出る前に花が咲く特徴と、花の大きいオオシマザクラの特徴が合わさって豪華な咲き方になったのです。
 花の形も様々です。一重、八重のほか花びらが10枚位の半八重、60―70枚以上の菊咲きもあります。金沢の兼六園では360枚の花びらをつけたキクザクラも確認されています。
 同じ種類の桜でも土壌や一本一本の木の特性で育ち方が変わります。有名な京都の仁和寺のオムロアリアケは高さが2メートル位しかありませんが、森林科学園内のオムロアリアケは、園内の桜の木の中でも有数の大きさに育っています。
 周囲に何もないほうが大きく枝が張ります。有名な福島県三春のベニシダレが立派なのは周囲が畑だからです。森林科学園では今月20日過ぎには、八重桜が見ごろになります。時期ごとに変わる満開の桜花を楽しんでください。
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今年3月まで4年間、同園長を務め、現在は林野庁の外郭団体の林業科学技術振興財団の主任研究員である三輪さんは、豊富な桜に関するの知識の持ち主。同園には全国から集められた250種類とも言われる桜があるが「桜は開花前に気温10度以下の日が数日ないと咲きません。このため九州より東京の方が早く開花宣言が出ることがあるのです」「カンヒザクラはは散るときに花ごと地面に落ちます」などと分かりかりやすく桜を解説した。

 (4/13・読売新聞多摩版記事より転載 ・写真提供/読売新聞)