立川市の自宅のベランダに、苗用のポット4個が加わった。植えたのはミズナラの種8粒。多摩川の水源林が広がる山梨県小菅村で10月8日に開催した多摩さくら遊学塾「水源の森でドングリ拾い」で、参加者と一緒に拾ったものだ。自宅に持ち帰って3日間、水に浸して虫を窒息死させ、土を入れたポットにまいた。小粒だったり形がいびつだったりと、やや心もとない種だが、冬の寒さに耐えて来年春には芽を出してほしいと、親心ながらに思っている。
ミズナラなどナラ、カシ類の木の実はドングリと呼ばれ、古くから日本人に親しまれてきた。今でこそ食べる人はいないだろうが、縄文時代の遺跡からはドングリの実のアクを抜いて食料に加工したと思われる遺構が見つかっている。ここ多摩では、農家の里山を構成する樹木として、戦後まで、枝は燃料に、落ち葉は腐葉土にと利用されてきた。私たちにとって欠かせない、いのちの木と言えるだろう。
宮脇昭・横浜国立大名誉教授の著書「いのちを守るドングリの森」(集英社新書)に次の一節がある。「木を植えることは、私たちのこころの中にも木を植えることである。そして人類と地球上のすべての生き物の未来を保障することである」
ミズナラの芽が育ったら、今回参加してくれた方々と再び水源の森に出かけ、苗を植えたいと思う。未来のため、いのちをつなぐために。(西野芳明)
(10/15 読売新聞多摩版記事より転載)
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