[清流]緑の再生に向けて
青梅市から奥多摩町、都県境を越えて山梨県の丹波山村や小菅村へと車を走らせると、周囲の山は緑の森に覆われ、実に気持ちがいい。温暖湿潤な日本では、放っておけば草木が生い茂る。

 だが、実際に森に近づいてみると、スギなど針葉樹の人工林は、木々が密生していて光が差し込まず、幹が細くてモヤシのようだ。間伐をしようにも木材価格が安くて労賃が出ない。過疎化が進み、労働力の確保すら容易ではない。幹が細くて根の張りも不十分だから暴風雨の直撃を受けると根こそぎ押し倒される。

 天然林はどうか。多摩川源流域はシカの生息密度が極めて高く、木の実が落ちて発芽しても食べられてしまい、森の更新を妨げている。下草がないので土砂崩れも起こりやすい。見かけは立派でも、よく見ると危機的な状況にあることに驚く。

 人工林の再生には、行政の支援が不可欠。天然林については、シカの頭数調整が欠かせない。その上で、木の実を拾って育て、再び山に植える活動を、市民の参加を得て継続的に進めていく必要がある。10月8日に小菅村のミズナラの森でドングリを拾う催しを企画したのも、こうした趣旨に基づくものだ。募集要項は22日の多摩版に掲載したので、ぜひ家族連れで参加していただきたい。拾ったドングリをお子さんと一緒に植え、春の芽生えを待つ。そんなところから、環境を大切にする心が育ってくれればありがたい。(西野芳明)

 

 (9/24 読売新聞多摩版記事より転載)