自然守る心の芽育てる。巨樹の会・平岡さん「自然を好きになる」
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多摩川源流域の奥多摩町の氷川小学校は、豊かな自然に恵まれた周辺環境を生かした「自然教育」を進める。
「多摩さくら百年物語フォーラム」の顧問で、自然保護団体「巨樹の会」を主宰する平岡忠夫さんが教える自然教育のキーワードは「自然を好きになる」だ。
日原川近くの原生林。昨年11月、幹周4.5メートルの巨大なアカガシを囲むようにして座った同小の4年生から6年生の60人余り子供達は、割り箸を削って作った絵筆を走らせた。秋に行われる巨樹の写生会は、3年目を迎えた。
環境省は幹周3メートル以上の樹木を巨樹としているが、平岡さんは「環境が悪化すると枯れてしまう巨樹は、環境のバロメーター」と全国の巨樹の保護、環境保全の活動を続けている。平岡さんは最近、写生を通した小学生に対する自然教育に力を入れている。同小だけでなく秋田県などの小学生に巨樹の写生を指導してきた。
「小学生に環境破壊の難しい話をしても敬遠される。それより森の中に入って、色々な種類の動植物がいることを知ってもらい、見たこともない大きな樹木の絵を描くことで、自然がいかに素晴らしいことかを知ってもらうことが大切」と平岡さんは話す。
豊かな自然に恵まれた奥多摩町でも、最近は子供たちが森の中に入ることがあまりない。平岡さんは、「(森の中に入ると)人間は心地良く感じる。こんな素晴らしいものがあったのかと」。子供達は、森に足を踏み入れると目を輝かせる。こうした活動を平岡さんは「次の世代の心に種を播く」と表現する。
江戸時代、修験のために多くの人が訪れていた奥多摩は、森林の伐採が禁じられていた。平岡さんは「自然と共生していた昔の人は自分たちが森林のおかげで生かされている事を知っていた。新しい森林文化を作りたい。これから百年先を見て活動しています」と力を入れる。
同小では写生会と平行して町内の川や山での魚釣りや、小屋作りなどを授業に取り入れている。「楽しい思いをすることで自然を好きになれば、大人になったときに『自然を守らなくては』と思うようになってくれるはず」と倉田守校長は期待している。
同小のグラウンド脇に育種箱がある。昨年十月に児童たちは、九百粒のミズナラやコナラの実を植えた。芽が出て大きくなったら山中などに植える予定で、冬休み中も交代で児童が世話をした。
倉田校長は、たまに根の張り具合を確かめようと育種箱に触れると「校長先生何やってるの?」と鋭い声が飛ぶ。「それだけ、大事に思っているということです」と倉田校長は目を細める。子供達の胸に自然を守る心の芽が育っている。
(読売新聞多摩版記事より転載)
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